中古車市場「相場高」が続くのはなぜ?
近年、中古車市場における「相場高」が続いていますが、これには国内外の複数の要因が絡んでいます。主に、需要の増加と供給の減少が価格上昇の背景にあります。以下では、国内と海外それぞれの視点から、その原因を詳しく考えてみます。
国内の要因
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新車供給の停滞 コロナ禍の影響や半導体不足により、新車の生産が遅れがちになっています。特に半導体は現代の車両に欠かせない部品であり、その不足は自動車メーカーにとって大きな課題です。この新車の供給遅延により、消費者が中古車に目を向けるようになり、中古車の需要が増加しています。
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需要の多様化 電気自動車(EV)やハイブリッド車など、環境に配慮した車両への関心が高まっています。しかし、これらの車両の新車は高価で、消費者が手頃な中古のエコカーを求めるケースが増えています。また、遠距離通勤やレジャーの需要増加も中古車市場の活性化を後押ししています。
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オークションでの出品台数不足 日本国内の中古車市場はオークションを通じて流通することが多いですが、近年は出品台数が減少しています。これは、個人や法人が保有する車両を手放さず、長く乗り続ける傾向が強まっているためです。車両を手放しても、代替車を確保するのが難しく、需要に応える供給が減っていることが拍車をかけています。
海外の要因
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輸出需要の高まり 日本の中古車は海外でも人気が高く、特にアフリカ、中東、東南アジアなどでの需要が強まっています。日本製の車は品質が高く、耐久性に優れていることから、これらの地域で高く評価されています。国内での供給が減少する一方で、海外への輸出が増加しているため、国内市場の在庫がさらに不足しています。
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世界的な供給チェーンの混乱 グローバルな供給チェーンの混乱も、中古車市場に影響を及ぼしています。半導体だけでなく、鉄鋼やプラスチックなどの原材料の供給も滞りがちです。これにより、新車の生産が遅れ、結果として中古車の需要が世界的に高まっています。
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為替レートの変動 円安傾向が続く中で、日本の中古車は海外市場において価格競争力が増しています。これにより、輸出業者が国内の中古車を積極的に買い付ける動きが加速し、国内市場の在庫が減少しています。
まとめ
中古車市場の「相場高」は、新車の供給不足、国内外の需要増加、そしてオークションでの出品台数不足といった要因が複雑に絡み合っています。これに加えて、輸出需要の高まりや世界的な供給チェーンの混乱も市場をさらに圧迫しています。この状況はしばらく続く可能性があり、中古車市場の動向には引き続き注目が必要です。