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フォルクスワーゲンにフラれた924 ポルシェ944 ターボ(1) 進化を重ねル・マンで善戦

ポルシェ「944 ターボ」は、もともとフォルクスワーゲンとの共同プロジェクトから派生した一台で、当初は「924」としてスタートしました。924はフォルクスワーゲンが手掛ける予定でしたが、最終的にプロジェクトから撤退したため、ポルシェが独自に開発を引き継ぐ形で市場投入されたという異色の経緯を持っています。そして、その後の「944」シリーズは、ポルシェらしい進化を遂げ、ついに944 ターボが登場し、スポーツカーとしての高いパフォーマンスを発揮するまでになりました。さらに、ル・マン24時間レースなどのモータースポーツでも善戦し、進化と実績を積み上げたモデルとして歴史に名を刻んでいます。

フォルクスワーゲンに「フラれた」924がポルシェブランドへ

1970年代、ポルシェはフォルクスワーゲンと協力し、手頃な価格で市場に投入できるエントリースポーツカーを開発することを目指しました。それが「924」プロジェクトで、ボディデザインやリアのトランスアクスルレイアウトなど、ポルシェとフォルクスワーゲンの技術を融合させたモデルが開発されました。しかし、市場環境の変化や社内事情からフォルクスワーゲンがこのプロジェクトを放棄したことで、ポルシェが開発を継続。こうして誕生したのが「ポルシェ924」でした。

924は、ポルシェの伝統である水平対向エンジンではなく、直列4気筒エンジンを搭載していたため、「ポルシェらしさ」に対する賛否もありましたが、その後のモデルチェンジと改良により人気を獲得していきました。

944 ターボの登場とル・マンでの挑戦

924の進化形として登場した「944」は、さらに洗練されたデザインと高性能なエンジンを搭載し、ポルシェらしいパフォーマンスを追求したモデルとして評価を得ました。特に944 ターボは、1980年代におけるポルシェの水冷エンジン技術の結晶とも言える一台で、排気量2.5リッターの直列4気筒エンジンにターボチャージャーを搭載。これにより、通常の944よりも大幅にパワーアップし、速さと安定感を両立した走行性能を実現しました。

1981年には、ポルシェは944 ターボをベースにモータースポーツへ参戦し、ル・マン24時間耐久レースなどで戦う姿が見られました。944は当時のポルシェのフラッグシップであった911シリーズとは異なる特性を持ちながら、優れた耐久性と信頼性で数々の耐久レースにおいて好成績を残し、「ポルシェ=リアエンジン」という固定概念を覆す新たなスタイルを確立しました。

944 ターボの性能とその魅力

944 ターボは、モータースポーツでの戦績を活かし、ポルシェが蓄積してきた技術が随所に盛り込まれています。リアのトランスアクスルによる前後重量配分のバランスが高く、コーナリング性能に優れている点や、ターボによる圧倒的な加速力が、944ターボをスポーツカーとしての高い次元に押し上げました。また、直線だけでなくワインディングでの安定感も高く、エンスージアストからの高評価を得ています。

進化と評価を重ねた「ポルシェの異端児」

944ターボは、ポルシェの歴史において「異端児」ともいえる存在ですが、その進化とパフォーマンスはファンにとっても魅力的なモデルです。フォルクスワーゲンとの共同プロジェクトから生まれ、ターボモデルとして独自の地位を確立した944は、今もなおクラシックポルシェの中で特別な存在感を放っています。

944 ターボは、ポルシェがモータースポーツから得たノウハウと、当時の技術革新を凝縮した名車として、その価値は今なお高い評価を得ている一台です。

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